僕の忠犬ハチ公



「私…ずっと…ずっと真君を待ってたの……。
だけど真君に嫌われたと思って諦めかけてた。
でも、真君は来てくれた……嬉しいよ…。私も側にいたい……。真君と一緒にいたい……」

「っ…小梅……!」

 込み上げてくる気持ちを押さえられず、今度は俺が、力いっぱい小梅を抱きしめた。

 小梅の耳の側で、俺は微かに震えている唇を動かす。

「……また、俺と弁当食べてくれるか?」

「うん」

 小梅は涙混じりの声で、首を小さく動かし、こくりと頷く。

「弁当だけじゃいやだ。また、帰りに俺のことを待っていてほしい」

「うん」

「俺は、もっとお前のことが知りたい。
だから、二人で遊んだり、いっぱい話をしたりしたい」

「うん」

「…こんな俺だけど…ずっと一緒にいてくれるか……?」

「うん…!」

 最後の返事には、一際力がこもっていた。

 俺は体を少し離し、小梅と顔を向き合わせた。

 そして一度深く深呼吸をし、再び口を開く。

 自分の心のままの、ありのままの笑顔になって。

「……ありがとう…小梅」

 小梅の涙のたまった瞳が細められ、また一粒の雫がぽろりと落ちた。

 ふんわりとした月の明かりが、包み込むようにやさしく俺達を照らしくれる。

 そんな静かな夜だった。