僕の忠犬ハチ公




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 俺の涙がとまった頃には、いつのまにか夕日が落ち、空はもうすっかり暗くなっていた。

 二人で並んで、塀によりかかって座り、何を話すわけでもなく、ただぼんやりと星を眺める。

 ちなみに警察はどうしたかというと、実はあれは小梅の嘘だった。

 あまり大事になると、俺が困ると思って配慮したらしい。

 まったくこいつはどこまでお人よしなんだか……。

「……なぁ」

二人で星を眺めていた静寂をやぶり、俺は小梅に話しかけた。

「俺、まだ間に合うか?」

「え?」

「やっと本当に大切なものに気付けたんだ。
俺のことを心から想ってくれていたのは誰か。
俺が本当に求めていた存在が誰なのか」

「…………」

 小梅は黙ったまま、ただ真っ直ぐに俺の瞳を見つめている。