僕の忠犬ハチ公



「なんだよガキ、てめぇも同じめにあわせるぞ」

 男は言葉で脅したが、小梅は怯まずに、俺達のところまで歩いてきた。

 男は、そんな小梅の様子に、驚いているように見える。

 小梅は目の前に来ると、携帯を取り出し一言告げた。

「さっき、警察に電話しました」

 とたん、男の顔色が変わる。

「五分程で来てくれるそうです」

 舞も慌てはじめた。

「ね、亮。私はもういいから。じゅうぶんだから。もう行こう」

「……チッ」

 男は舌打ちをすると、俺を塀に投げつけた。

 俺は背中に衝撃を受け、ずるずるとその場に座り込む。

「次、舞に手をだしたら、ぶっ殺すからな」

 男はそう言い捨てると、舞を連れ、去っていった。

 舞が振り返ることは、なかった。