僕の忠犬ハチ公



 鈴木、三上、近藤……。

 友達だと思っていたのは俺だけだったのか?

 じゃあ、一緒に笑ってすごしたあの時間はなんだったんだ?

 俺に向けられた笑顔は偽物で、ただの社交辞令?

 ガッ!!

 男がまた俺を殴りつける。

 鼻血がポタポタと流れだした。

 痛い。

 痛い。

 体も心も痛い。

 苦しい。

 もう、なにもかもが苦しい。

 ふと、自分をこんな状況に陥れた舞を見た俺は、悪寒にも似た既視感を覚えた。

 そして気づく。

 どこまでこいつは俺と同じなんだ。

 男の後ろに立つ舞の瞳は、いつかの自分のそれだった。

 小梅に決別を告げ、また鈴木達と一緒に弁当を食べはじめた時の自分の目。

 かりそめの幸福が詰め込まれた眼。

 今、舞の瞳の奥は満たされていた。