僕の忠犬ハチ公




***

 行為の最中、俺は初めてなのでかってがわからず、ただがむしゃらに舞の指示通りに動いた。

 行為の後、舞は陶酔したトロンとした瞳で、

「初めてなのに上手だったよ。舞、真平君のこと気に入っちゃった」

 と俺に抱き着いてきた。
 褒められて悪い気がする人などいない。

 俺の心が優越感で満たされる。

 女を抱くことを経験した自分は、周りの同級生達よりも上位に立った気がした。

 それに、行為の最中、無我夢中に動いている時だけは、虚無感や日常感じていたイライラから解放されることができた。

「ねぇ、私達付き合わない?」

「舞は俺のこと好きなの?」

「付き合って一緒にいるうちに好きになればいいじゃん。だから……ね…」

 舞が携帯を取り出す。

 俺は舞に促されるままに電話番号とメアドを交換した。

 行きずりの関係。

 相手の詳細も定かではない。

 自分は危ないことをしているんじゃないかとゆう自覚はあった。

 でも、その時の俺は、自分の身を守ることよりも、心に空いた穴を埋めたいとゆう欲求のほうが勝っていて、空っぽの眼を宿す者どうしなら、お互いをわかりあえるんじゃないか、満たしあえるんじゃないか、と思った。

 苦しみから逃れる解決策がない俺は、藁にも縋る思いで舞のアドレスを登録した。