僕の忠犬ハチ公



 いったい何が原因なんだよ?

 俺は髪を染め、ピアスを開け、自分が望むままにお洒落をしている。

 暇な日には夜遅くまでカラオケに行ったり、誰かの家でゲームをしてそのまま泊まったりして遊んでいる。

 俺は今、中学生の頃に、羨妄してやまなかった自由を手に入れ、それを最大限に使用し、高校生活を謳歌しているのだ。

 クラスでは目立つほうのグループに居る。

 違うクラスの女子が頬を染めて、メアドを聞いてきたこともあった。

 充分過ぎる青春じゃないか。

 わからない。

 心が、息苦しい……。

 授業中にずっと思案し続けたが、答えに辿りつくことはなかった。

***

 放課後、俺は誰もいない教室で机の中をガサゴソとあさっていた。

「お、あったあった」

 置きべんの教科書の隙間から携帯を引っ張り出す。

「はーあ、俺も懲りねぇな」

 鈴木達と帰っていた俺は、途中で携帯がないことに気付き、一人で学校にとりにきていた。

 今度こそ鞄の中に携帯をしまうと、教室を後にした。

 はぁ、イライラする。

 誰かに愚痴りたい。

 前はこんなに鬱憤が溜まることなんてなかったのに。

 俺のがんじがらめの心の中は、どろどろとした黒い感情でいっぱいだ。

 どうして最近こんなにイライラするんだろう?

 前はどうやってストレス解消してたっけ……。

 俺は歩きながら、あてもなく考えを巡らせた。

―一真君

 小梅?

 いきなり頭の中で小梅の声が聞こえた。