僕の忠犬ハチ公




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「なぁ、なんか最近お前、機嫌悪くね?」

「え?」

 ぼーっと窓の外を眺めていた俺が、鈴木にそんなことを言われたのは、小梅との関係を絶ってから、二ヶ月程経った日のことだった。

「機嫌悪い?」

「うん」

「俺が?」

「そう、なんか恐い顔してるっつーか。
それにため息もよくしてるし、大丈夫か?」

「まあ、うん、大丈夫だって。ほら、期末試験近いじゃん。
最近遅くまで勉強してるからさ、それでたぶん寝不足で疲れてるだけだと思う」

「そうか、あんまり無理すんなよ」

「おう、サンキュ。あ、次の時間本郷だから、早めに席着いておいたほうがいいぞ」

「えっ次本郷かよ、超やだ」

 はぁあと大きなため息をつきながら、鈴木は自分の席へと戻っていった。

 政治経済担当の本郷は、やたらとベル席に厳しい先生なのだ。

 ほどなくして鐘がなり、本郷が教壇に立って授業がはじまった。

 俺は本郷による板書をノートに書き写しながら、合間をみつけては、またぼーっと窓の外を眺めた。

 実は、さっき鈴木に言ったことは嘘だった。

 たしかに期末試験のため、遅くまで勉強していることは事実なのだが、そんな表面に疲れが出るほどにはやっていない。

 けれども、最近自分にどこか違和感を抱いていて、おかしいとは感じていた。

 普通の日常生活を送っているだけのはずなのに、何故か鬱憤が溜まっていて、やたらイライラする。

 鈴木達と、カラオケに行ったり、クラスの女子も誘って遊園地に行ったりして遊んでも、どこか心が虚しく、寂しくて、上辺だけでしか楽しめない。

 心が動かされない。

 いや、動かない。

 なにか鎖のようなものでがんじがらめに縛られ、心が、拘束されている。