僕の忠犬ハチ公



 ホールに着くと、小梅がいつものように購買の近くの壁に寄りかかっていた。

 普段の俺なら、それを見つければ嫌気がさすが、今日は違う。

 嫌気どころか少し嬉しくさえ思えてきた。

 だってこれでもう全てが解決するから。

 小梅は俺が来たことに気付くと、今日も小走りで駆け寄ってきた。

「あの、真君一緒に」
「弁当食べたいんだろ?」

 言葉を遮ると、俺は代わりに続きを言ってやった。

「う、うん」

 小梅は、いつもと少し違う俺の様子に、ちょっとびっくりしながら頷いている。

「いつも俺が弁当買うの待っててもらうの悪いからさ、今日は先に多目的ホールで食べてていいよ」

「え? いや、そんな、私待つの全然苦じゃないよ」

「いいから、お前食べるの遅いんだし、ほら」

 俺は後ろから、とんっと軽く片手で小梅の肩を押してやった。

「いいの?」

 俺は口元に笑みを浮かべて頷く。

「ありがとう、じゃあ私待ってるね」

 小梅は笑顔で俺に手を振ると歩いていった。

 その後ろ姿を見届けると、俺は鼻で笑った。

 ははっ、あいつ何も知らないで……笑っていられるのは今のうちだけだってゆうのに。