僕の忠犬ハチ公



 暗闇と静寂が辺りを包む。

 先程の女子達の声が頭の中で反芻された。

――馬鹿にして笑ってたよね

――そのうち田村君もはぶられそうだよね

…………

 全く予想していなかった言葉にショックをうけ、頭の中がぐるぐるしてわけがわからない。

 俺は馬鹿にされ、笑われている。

 俺ははぶられそうになっている。

 ……違う。

 違う。

 認めない。

 こんなの俺の理想と違う。

 俺はこんなふうになるためにこの高校に入ったんじゃない。

 どうしてこうなってしまった?

 誰のせい?

 いったい誰のせい?

――ほら、いつも一組のめっちゃダサいおかっぱの子とお昼食べてるじゃん

 …………小梅だ。

 あいつのせいだ。

 こうなったのはみんなあいつが付き纏うから。

 俺のことをいつもあの場所で待っているから。

 ちくしょう……。

 ちくしょう!!!






※※※

 次の日の昼休み、鐘の音を聞いた俺は、弁当を買うために教室を出た。

 いつもと同じように廊下を歩き、階段を降りる。

 そしてまたいつもと同じように購買のあるホールへと向かう。

 全ていつもとなんら変わりのない行動だ。

 ただ一つ違ったのは、俺の心に宿った、一つのかたい決心。