僕の忠犬ハチ公



 異性を意識する年頃の高校生としては、かなり気になる話の内容だ。

 俺は気配を消し、そっと耳をそばだてた。

「え〜、私ぃ?う〜んと林君かなぁ」

「あー、わかる〜。カッコイイよね」

「めぐは?」

「うちは太田君かな」

「え〜、太田君カッコイイ〜?」

 きゃあきゃあと楽しそうに盛り上がっている。

 ……つーか、俺の名前でねぇな。

 やっぱそろそろ髪染めてピアスでも開けて、もう少し垢抜けるかなぁ。

「うち田村君もカッコイイと思う」

 よっしゃ、きたぁ!!

「うん、私もけっこうあの顔好みぃ♪」

「え〜、でも田村君ってもう本命いるじゃん」

 ……は?

「ほら、いつも一組のめっちゃダサいおかっぱの子とお昼食べてるじゃん」

「あー、そういえば。あのきもいおかっぱってたしか一組で超はぶられてるんだよね」

「あんなきもいの好きになるなんて趣味悪いよね。しかも田村君と仲いい男子達さ、田村君いない時にそのこと馬鹿にして笑ってたよね」

 え?!鈴木達が?!

「そのうち田村君もはぶられそうだよね。あ、てゆーかそろそろ時間やばくない?」

「あ!ホントだ。もう帰ろう」

 パチパチと電気が消される音がして、女子達は相変わらず楽しそうに話しながら、俺がいる教室を通り過ぎていった。