僕の忠犬ハチ公




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「あれ? どこ置いたんだっけ?」

 それから一週間程経ったある日、俺は家の自室で携帯電話を探していた。

「いったいどこいったんだよ」

 おかしい、学校から帰ってきてからは、一度も携帯を触っていない。

 鞄の中にあるはずなのになんでないんだ?

 念のため制服のポケットも、部屋の中も探した。

 それなのにどこにも見当たらない。

 そうなると、もう思い当たる節は……

 教室の机の中。

 俺は時計を確認した。

 時刻は午後七時、学校までは自転車で十五分。

 閉門の時間は八時だから、今から行けばまだ間に合うはずだ。

 俺は自転車の鍵を掴むと部屋をあとにした。

***

 学校へ着き、薄暗い校舎の中を進んで行くと、俺のクラスだけは明かりがついていた。

 まだ誰か残っているのか?

 教室に近づくにつれ、話し声が聞こえてきた。

 声の質からして、おそらく女子だろう。

 人数は四五人といったところか。

 教室の近くまで行くと、会話の内容まではっきり聞こえてきた。

「ねぇねぇ、うちら入学して暫く経ったけどさぁ。うちのクラスの男子の中で誰がカッコイイと思う?」

 俺はカッコイイというワードに、思わず身を真っ暗な隣の教室へと隠した。