僕の忠犬ハチ公



「……いいよ」

 俺は腹をくくることにした。

「ほ、本当?」

 俺の答えを聞いた、小梅の瞳が真ん丸に見開かれる。

「だからいいって言ってんだろ。二回も言わせんじゃねぇよ」

「真君、ありがとう」

 小梅はぱっと花が咲いたように明るくなり、顔を綻ばせた。

「ありがとう……」

 喜びを噛み締めるようにもう一度繰り返す小梅をしりめに、俺は許可をしたのはいいものの、いったいどこで食べるかということについて思案していた。

 さすがにお互いの教室で食べるのはまずいだろう。

 ならいったいどこで食べようか、

…………

 たしか、購買と同じく一階にある多目的ホールには、椅子とテーブルがいくつかあったはずだ。

 俺達一年生の教室は四階だから、あそこなら二人で食べていてもあまり目立たないだろう。

「じゃあ、食うの多目的ホールな」

 俺は要件だけ言うと、踵を返し歩きはじめた。

 なんか最近ストレスが溜まっていて、ちょうど誰かに愚痴りたいと思っていたところだ。

 こうなったらおもいっきりはけ口にして、ストレスを発散してやろう。

 どうせ今日だけだろうとたかをくくっていた俺は、そんなことを考えながら目的地へと足を進めた。

 しかし、俺の予想に反し小梅は、次の日も、そしてその次の日である今日も、俺を待っていた。