僕の忠犬ハチ公




 キーンコーンカーンコーン

 鐘がなり、昼休みの始まりがつげられ、俺は昼飯である弁当を買いに購買へと足を進めた。

 今日はいるな。

 頼むからいるな。

 俺は今日もただ一つのことを、必死に願いながら歩いていた。

 だけど神様は意地悪で、俺の願いは脆くも崩れさる。

 今日もあいつは俺を待っていた。

 購買に近づくにつれ、購買の横の壁に寄りかかるそのシルエットが誰かはっきりとしてくる。

「真君」

 俺の姿を見つけると、小梅は小走りで駆け寄ってきた。

「あ、あの、今日も一緒にお昼食べてもいいかな?」

「……いいよ」

「ありがとう!」

 俺が了承したとたん満面の笑みになる。

 いい加減いやいや返事していることに気付けよ。

 俺は小梅の鈍感ぶりに深く嘆息する。

 そう、俺の悩みの種とは、昼休みになると必ず購買の近くで待ち伏せをしているこいつだった。