私は家庭科室に着くまでずっと考えていた・・・。

歩はあんなに軽い男だったの?!!

いや、私が単に気付いてなかっただけじゃ・・・。

いっつも一緒に居るようなものなのに?!!

『はあぁ・・・。もうヤダ。』

こんな自分が嫌。

『何かあったの?小野。』

『神崎先輩・・・。』

『さっき幼馴染みの歩君に怒鳴ってたよね?』

え、聞かれてた?!

『え、あ、それは・・・あの・・・。』

『ケンカするほど仲が良いって言うしね、小野。』

『べ、別に仲良くもありません・・・。』

神崎先輩はいつもそう。
私が気にしているところを突くんだ。

『さ、みんなが来る前に準備しよう!』

『はい!』

今日は、次のコンクールに出すケーキをみんなで考えることになってる。

『でも、小野のイメージ図はいつも役に立ってるよ。』

『そ、そんな。神崎先輩の方が才能あるし・・・。』

『次のコンクールは、今年の中で1番大きいかも知れない。』

・・・時々見せる、神崎先輩の真剣な顔。
私もさすがにドキッとする。

『じゃあ、もう少し細かく正確に書いたほうが良かったですか?』

『いや、コレだけでも十分だよ。』

ガララッ・・・-

『瑞稀ちゃん、神崎先輩。こんにちわ』

『望ちゃん!あれ?みんなは?』

『あ、みんな委員会とかで遅れてくるみたい。』

望ちゃんは私と同学年だけど、違うクラス。

姉妹みたいに仲が良い。

『そっか~。神崎先輩、どうしますか?』

『みんなが来るまで味付けとかの案も出しておこう。』

『はい!わかりました。』