数秒か、数十秒か、それとも数分か。 どのくらい経ったのかはわからない。 美少女はなにもなかったかのように立ち上がり、こちらに背を向けて、来た道を戻っていった。 一瞬だけ見えた、なにも映っていない瞳の奥の闇に吸い込まれそうになった。 俺はしばらくの間、動くことができなかった。 どうしてだろう。 恐怖に似た感情が、俺を縛りつけていた。 この小さな町では見たことのない美少女。 闇をはらんだ瞳。 表情のない顔。 震えていた肩。 それらが頭に焼き付いて離れなかった。