「じりりりりり!!!!」
けたたましい金属音が私の意識を現実に引き戻した。
ふと顔をあげると朝日が遠慮なく私の目に差し込んでくる。
「うーん・・・」
緩慢な動作で身体を起こしふと、脇にあった時計に視線を移す。
可愛らしさの欠片もないデジタルの文字盤は八時五分を示していた。
湧き上がってくる欠伸を噛み殺し現状把握をしてみる。
机の上に広げられっぱなしのノートを見るとどうやらあのまま寝てしまったようだ。
「って、遅刻!」
ハンガーにかけてあった制服をひったくるように取り素早く着替え、鞄の中身も確認せずに脱兎のごとく部屋を飛び出した。
「あら遥、寝坊?珍しいわね。」
一大事と言うわけではないが娘が遅刻しているのに叱責を飛ばすどころか、台所でコーヒーに手を伸ばす母はさすがだなと思いつつ家を後にした。