カランコロン…。
ドアについている小さな鈴が可愛らしく鳴る。
その音に気付いておばさんが出迎えてくれた。
「あら、いらっしゃい!美結ちゃん、今日は彼氏連れかい?」
屈託なく笑うおばさんにあたしは小さく笑いながら言った。
「彼氏ぢゃないよ。…友達…かな」
「そうかいそうかい。さ、早く席に座りなさい」
おばさんがそう言うとすぐに厨房に消えてしまった。
あたしはてきとうにカウンター席に座って、そのとなりに橋本が座る。
「なんか、優しそうなおばさんだな」
橋本はおばさんが持ってきてくれたお水を飲みながら言った。
「うん。すっごく優しいよ」
おばさんは厨房からひょいと顔を出した。
「注文は決まった?」
「うん。あたしはたらこパスタで」
「美結ちゃんはいつもそれだねぇ。そっちの彼は?決まったかい?」
「ぢゃあ俺は、トマトと卵のパスタで」
それぞれ頼む終わると。
静かになって沈黙になってしまった。

