………………えっ?
“トクン”と小さく胸が跳ねる。
若い女性は首を横に振り、会釈をすると駅の方に向かって歩いた。
「…………あのっ!」
今度は俺が彼女の背中に声をかけた。
肩がビクンと揺れて、ゆっくり振り向く彼女。
さっき怪訝そうな顔をして急いでるとまで言った男が目の前にいる。
そんな俺を見て、彼女は目を見開いた。
「あの……」
彼女が小さくそう言った。
「さっきの写真、見せてもらっていいですか?」
彼女が若い女性に見せていたのは写真だった。
その写真に写っていたのは……。
彼女が写真を俺に差し出した。
写真に目を落とす。
小さく跳ねた胸の鼓動が、だんだん大きくなっていく。
やっぱり……。
そこに写っていたのは、紛れも無く美雨だったんだ――……。



