美しい雨―キミの笑顔を見せて―




彼女は俺に会釈をすると、また違う人に声をかけていた。


ほとんどが俺と同じで、彼女の話を聞く人はいない。


中には無視したままスタスタと歩いて行く人までいる。


俺は喫煙コーナーに行きたかったのに“急いでる”と彼女に言った手前、喫煙コーナーに行けなくなってしまった。


さっきの彼女の方を見ると、1人の若いOL風の女性に声をかけていて、その若い女性は足を止めて話を聞いていた。


俺は、まだ少し早いけど学校へ向かうために彼女と若い女性が話している脇を通った。


その時……。


彼女が若い女性に見せていたものが一瞬だけ目に入った。