「あの……すいません……」
喫煙コーナーに行く途中、後ろから声をかけられた。
振り向くと、そこには50代くらいの女性が立っていた。
「お忙しいとこ、すいません……」
軟らかな笑顔を見せた彼女は、そう言って俺に近づいて来た。
俺には中年女性の知り合いはいない。
何かの勧誘か?
それとも宗教?
怪訝そうな顔をしている俺に対して、彼女は相変わらず軟らかな笑顔を浮かべている。
「申し訳ないけど、急いでるので……ゴメンなさい……」
俺がそう言うと、彼女は少し苦笑いをして「そうですか……すいません……」と言って、軽く会釈をした。



