美しい雨―キミの笑顔を見せて―




店内に、あまり客がいないからなのか、男1人の客が珍しいからなのか、店員は俺に付きっきりで相手をしてくれる。


何も買わずに店を出にくい雰囲気だ。



「あの、友達の子供が小学校低学年の女の子なんですけど……」



あまりにも付きっきりの店員に思いきって俺から声をかけた。



「そうなんですかぁ!?」



俺から話しかけたからか表情がパッと明るくなる店員。


友達の小学校低学年の子供ってのは嘘だけど、店員はあれこれとアドバイスしてくれる。


大きくなく小さくもない、ちょうどいいテディベアを店員が勧めてくれて、それをプレゼント用に包んでもらうことにした。


まぁ、決め手は値段だったんだけど。



「ありがとうございます」



そう言ってニコッと微笑み、プレゼント用に包まれたテディベアを渡してくれた。



「ありがとう」



店員に話しかけられた事が面倒だった俺も自然と笑顔になる。



プレゼントを受け取り、ショップを出ようとした時……。



「良いクリスマスを!」



店員が俺の背中に向かって元気な声でそう言った。


俺は振り向き、店員に笑顔を見せた。


キミも良いクリスマスを……。


そして、俺はショップを後にした。