HRの終わりを告げるチャイムが響き渡る。


それでも動こうとしない佐原。



「チャイム、鳴ったぞ?」



俺は書類に目を落としたまま佐原にそう言った。



「ねぇ、先生?」


「ん?」


「今日は誰かと過ごすの?」



再び佐原を横目で見ると、相変わらず毛先を指でクルクルしていて……。


俺が横目で見た事がわかると、目線を毛先から俺に向けた。


上目遣いで俺を見る佐原と目が合う。



「別に?佐原には関係ねぇだろ?」



目を逸らし、そう言った。



「ふーん……先生も寂しいんだね……」



口角を上げ、クスクス笑う佐原。


何が言いたいんだ?


頼むから早く帰ってくれ。