「あ、雪……」
2学期の終業式が終わり、体育館から保健室に帰ってきた俺は、パソコンで仕事をしていた。
ふと見た窓の外。
灰色の空から綿のような雪がヒラヒラと舞っていた。
「ホワイトクリスマスだね。ねぇ、先生?」
急に後ろから声がして、慌てて振り向くと、保健室のドアのところに佐原が立っていた。
「そんなに驚かなくてもいいじゃん」
佐原はクスクス笑いながら、保健室のドアを閉めると、俺の方へ近づいて来た。
「今はホームルームの時間だろ?」
「サボっちゃった」
“エヘヘ”と笑う佐原に溜め息が出る。
またかよ……。
めんどくせぇ。
でも、ここで叱ると泣かれるのがオチだ。
いい加減、学習しなきゃな。
「そうか……」
だから俺は、そう冷たく言い放ち佐原に背を向けた。