美しい雨―キミの笑顔を見せて―




俺の言葉に俯いたまま、ゆっくり箸を持ち、取り皿に取り分けられた豆腐を小さく切り、ゆっくりと口に運んでいく。


その後も、ゆっくりではあったけど、少しずつ食材を口に運んでいく。



「美味しいか?」



美雨が、ご飯を食べた事が嬉しくて、思わずそう聞いてしまった。



「美雨ちゃん、美味しい?」


「美味しい?」



裕介と優香も嬉しかったのか、美雨にそう聞いている。


美雨以外、皆、持っていた箸を置き、美雨を見ている。


でもそんな俺達の顔に笑顔はなく、ジッと美雨を見ていて……。


それは、まるで我が子が初めてご飯を食べる様子を見ている母親のような心境だ。


そんな俺達が見つめる中、美雨は小さくコクンと頷いた。