美しい雨―キミの笑顔を見せて―





「ねぇ、例の彼女は?」



優香が、ほとんど使ってないダイニングテーブルの上に大量の荷物を置きながら小さな声で聞いてきた。



「部屋にいる」



俺は閉められた部屋の引き戸を指差した。



「そうなんだぁ。じゃあ、ちょっと挨拶に……」


「ちょ、待て待て」



俺は部屋に行こうとした優香の腕を掴んで止めた。



「何でよ?」


「ちょっと、そこに座ってくれ。裕介も座って?」



優香と裕介はダイニングテーブルの椅子に座った。


2脚しかないダイニングテーブルの椅子。


俺は玄関の角に立てかけてあった折り畳みの椅子を持ってきて座った。



「ちょっと、雅斗?どうしたのよ?」


「彼女に会う前に、お前らに彼女のことを話しとこうと思って……」



俺は裕介と優香に美雨のことを包み隠さず全て話そうと思ったんだ……。