美しい雨―キミの笑顔を見せて―





「美雨?玄関の外にいる人は警察とかじゃないから。安心して?大丈夫だから……なっ?」



俺は小さい子供を慰めるようにそう言った。


コートの袖口をギュッと掴んでいた美雨の手の力が抜けていき、コートの袖口から美雨の手が離れた。



「今開けるから、ちょっと待って~!」



玄関に向かって大声でそう言った後、顔を美雨の方に戻して、美雨の頭を優しく撫でた。


その時、美雨の体がピクンと小さく跳ねたように見えた。


俺は立ち上がり玄関に行く。


鍵を開けて玄関のドアを開けた。



「遅い!もぅ!何分、待たせるのよ!豪邸でもないくせに!早く出て来なさいよね!」



ドアを開けた早々、優香の怒号が飛んできた。


相変わらずだな。


昔から変わってねぇなぁ……。


そう思うと笑えてきた。