美しい雨―キミの笑顔を見せて―




部屋の電気をつけ、テーブルに目をやる。


テーブルの上には俺が朝、置いて行った現金と手紙が朝の状態のまま置いてあった。



「美雨?」



俺は美雨の横に立ち、名前を呼んだ。


無表情のまま俺を見上げる美雨。



「何か食った?」



俺の問い掛けに、美雨はゆっくり首を左右に振る。


やっぱり……。


テーブルの上は朝のまま。


美雨は今日、起きてから何も食べてないことになる。


いや、正確には昨日からだ。


遠慮してるのか?


このまま何も食べないでいたら倒れてしまう。


それでなくても細いのに……。



「美雨?」



俺はしゃがむと、目を美雨の目線に合わせた。


ジッと俺を見つめる美雨。



「遠慮してる?」



俺の問い掛けに首を振らない。



「なぁ、美雨?えっと……あー……うーん……っと、えっと……」



次の言葉が出て来ない。


それは多分、美雨に見つめられているからだ。


しかも、こんな時に何で俺の胸は高鳴るんだ……。


ドクッ、ドクッ――。


胸の鼓動が自分の耳の中で大きく響いている。


美雨が何歳か知らないけど、美雨みたいな子を毎日見てるじゃないか。


平気で笑いながら話せてるのに……。


何で美雨の前だと緊張するんだよ。