「あのなぁ、佐原……」


「ん?」


「俺と佐原は先生と生徒の関係で、それ以上でも、それ以下でもないんだ……」


「わかってる。わかってるけど……でも、先生が好きなんだもん……。だから教室にいるより先生のいる保健室にいたいの」



そう言って俯く佐原。


制服のスカートをギュッと握った手の上にポタポタと雫が落ちていった。


度々、授業をサボって保健室に来る彼女に教室に戻るように促すと必ずと言っていいほど、この展開になる。


これで、もう何回目だ?


何回も何回も同じ展開になってるのに、俺って学習能力ゼロだな。



「あのな、佐原……。別に保健室に来るなとは言わない。だけど授業はちゃんと受けろ」



このセリフを言うのも何回目だ?


飽きるほど言ってる。


佐原は手の甲で涙を拭きながら、頷いて保健室を出て行った。


“うん”と頷いて納得して保健室を出て行って、何日間は俺の言い付けを守る。


でも、しばらくすると“忘れました”と言わんばかりに授業をサボって保健室に来る。


で、また……。


同じことの繰り返し。



「はぁ……」



疲れた……。