美しい雨―キミの笑顔を見せて―




なぁ、美雨。


4年前、雨が降る寒い日にキミに出会った。


笑うこともない


泣くこともない


怒ることもない


しゃべることもない


まるで感情を無くした人形のようだったんだ――……。


苦しみや悲しみを背負い、感情を面(オモテ)に出すことをやめたキミに俺は、いつしか恋心を抱くようになっていたんだ。


キミの笑顔が見たくて、キミの声が聞きたくて……。


あの頃の俺はキミに気持ちを伝える勇気はなかった。


もう、悲しむことも苦しむこともないよ。


俺がキミの傍にいる。


キミを守ってあげるから。


だから、ねぇ、美雨?


俺の傍で、いつまでも笑っていて欲しいんだ。


それからね……



「美雨?」



美雨は見上げていた空から俺に目線を落とした。


俺、今なら言えるよ。


キミに俺の気持ちを言えるよ。



美雨……。



俺はキミを



愛してる――。





―END―