美しい雨―キミの笑顔を見せて―




“ポタ――ポタ――”



あれ?


雨?


俺の頬に、ポタポタと雫が落ちてくる。


美雨の顔を見ると……。



「み、う?」



美雨の頬に涙が伝っていて……。


それが俺の頬に落ちていた。


美雨?


俺のために泣いてくれてるの?


美雨?


何も感情がなく無表情のままで、まるで人形みたいだった美雨。


そんな美雨が泣いている。


小さい子供のように俺の体を揺すりながら泣いていた。


感覚の鈍くなった手を美雨の頬に当てる。


真夏なのに寒くて、体中が寒くて、冷たく震える手に美雨の温もりが伝わってくる。


美雨、泣かないで?


ねぇ、美雨?