えっ?
俺、何で空を飛んでんだ?
真上に夜空が見える。
あっ、月だ……。
今にも空に飛んで行けそうなくらいフワフワした気持ちだった。
まるで夢の中にいるようで……。
今までのことが走馬灯のように駆け巡る。
でも、それは“ドンッ”という衝撃でなくなってしまった。
あれ?
さっきまでフワフワしてたのに、何で俺は寝てんだ?
俺の横には車が停まっていて、周りには人だかりが出来ている。
あ、車に轢かれたんだ……。
だから優香は……。
そう思った瞬間、周りの悲鳴やざわめきが耳に入ってきた。
それから痛みが体中を駆け抜ける。
今まで味わったことがないような痛み。
その痛みで顔が歪んでいった。



