「じゃあ、帰るわ。今日はありがとう」
「……うん」
「またな」
裕介も優香も笑顔でそう言ってくれた。
4人の思い出が刻一刻と終わりを告げていく。
マンションのエントラスを出た時、後ろを振り向くと、裕介と優香が今にも泣きそうな複雑な笑顔でこっちを見ていた。
エントラスと外を繋ぐガラスの自動ドアが閉まる直前……。
「雅斗!待って?」
優香がそう叫び、走って外に来た。
その後ろを裕介もついて来た。
「やっぱ駅まで送る」
「えっ?いいよ」
「ううん。駅まで送らせて?」
優香も美雨との別れが辛いんだろう……。
優香は駅まで一緒に行くと言って聞かなかった。
俺と美雨が並んで歩き、その後ろを裕介と優香が歩いていた。
マンションの前の大通りは、花火大会から帰る人で少し賑やかだった。
その中をまるで葬式帰りのように4人で黙って歩いた。



