美しい雨―キミの笑顔を見せて―




花火が終わり、優香の作ってくれた料理を食べながら他愛もない話しをした。


楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。


23時前、俺達は帰ることにした。


美雨が着てきた服は紙袋に入れられていて、それを優香に渡された。


マンションの下まで送ると言って、裕介と優香と一緒にエレベーターに乗る。


さっきまでの賑やかさとは違い、エレベーターの中は静かだった。


マンションのエントラスについた時も誰1人、話しをしようとしなかった。



「あ、あのさ、優香」



沈黙が続くのが嫌で、俺は優香に話しかけた。



「ん?」


「浴衣、クリーニングしたら返すから……」


「あ、いいよ。それ美雨ちゃんにあげる」


「でも……」


「ホントにいいの。最初からそのつもりだったし。2枚持ってても着ないから……」


「ありがとう」


「ううん」



優香は軽く首を左右に振った。


そんな優香は少しだけ目が潤んでいた。