美雨は頷くこともなく、首を横に振ることもなかった。
ただ、俺に背を向けたままで……。
それは肯定してるのか否定してるのかわからなかった。
でもな、美雨はいい子だからわかるよな?
施設に帰って、また美雨の可愛い笑顔を取り戻して欲しいんだ。
「美雨?もうひとつだけ話しを聞いてくれないか?」
そう言った俺に、美雨からは何も反応はない。
「土曜日に花火大会があるんだけど、優香が皆で一緒に見ようって……」
やっぱり何も反応はない。
「どうかな?」
俺の問い掛けに、少し時間を置いて、美雨はコクンと頷いた。
「良かった」
俺の顔は笑顔になる。
なぁ、美雨?
沢山の思い出をキミに作ってあげることは出来なかった。
でも、皆で花火を見たことが、キミの俺達と過ごした思い出になって、いつまでもキミの心にあったら嬉しいな……。