その時、ふと頭に浮かんだ思い。
これから美雨はどうなるんだろう……。
佐原の家には絶対に帰したくない。
じゃあ、施設に返さなければいけないのか?
でも美雨は佐原の家族のモノで……。
本来なら美雨は佐原の家族の元に帰される。
「早乙女さん……。俺は、どうしたらいいですか?美雨を家族の元に帰さなければいけないですか?」
「本来なら、あやめちゃんは佐原さんのお宅に帰すのがルールです」
やっぱり……。
「でも私は、あやめちゃんを佐原の家族には渡したくありません。もう、あやめちゃんに悲しくて苦しい思いをさせたくありません」
「僕も同じです」
「でも中野さんに、これ以上ご迷惑をかけるわけにもいきません」
「僕は迷惑だなんて全く思ってません」
もし願いが叶うなら美雨と一緒に暮らしたい……。
でも、未成年の美雨と一緒に暮らしたいと思う、その願いは無理に等しいだろうと自分でもわかってる。
でも――……。