美しい雨―キミの笑顔を見せて―





「親戚の家にいると言いながら、警察や児童相談所には連絡するな。探すなら勝手に探せばいいけど、探し出しても連絡はしてくるなと言われて、おかしいと思ったんです」


「確かに……」



親戚の家にいると言うなら、警察や児童相談所という言葉は出ないはずだ。


こちらが言ったわけじゃないのに自分から警察や児童相談所という言葉を出してきた。


しかも探すなら勝手に探せばいいけど、探し出しても連絡はしてくるなと言うのもおかしな話しだ。



「だから私は、ここに来たのは、あやめだけど、あやめは親戚の家にいることになってるから警察や児童相談所に連絡されると困る。そう捉らえました」



俺もそう早乙女さんの言うことに同意だ。



「あの時、あやめちゃんが電話してきたり、去年の12月にここに来たのは、あやめちゃんからのSOSだったんじゃないかと思ったんです」


「SOS、ですか?」


「えぇ。中野さんの話してくれた内容と、電話をした時のお母様の言動。あやめちゃんは辛く苦しかったんだと思います……。こういう仕事をしていながら、あやめちゃんのSOSを見抜けなかったなんて……情けないですね……」



そう言った早乙女さんの目から大粒の涙がポタポタと、こぼれ落ちていた。