美しい雨―キミの笑顔を見せて―




そこから沈黙が続いた。


美雨のことを話さなきゃ。


美雨のことを聞かなきゃ。


真実を確かめなければ……。



「あのっ」



少し俯いていた顔を上げて、早乙女さんに声をかけた。


早乙女さんは目を少し丸くして俺を見ている。



「あの、早乙女さんに先に謝らないといけないことがありまして……」



エアコンの効いた部屋。


なのに俺の額や背中から汗が吹き出してきて、スーツのポケットから出したハンカチで額を押さえた。



「あの、4月に駅で会った時、アナタに僕は写真の子を知らないと言いました……」



そこまで言って、早乙女さんをチラッと見た。


早乙女さんの顔は怒ってるわけでも笑ってるわけでもなく真顔で俺を見ていて……。



「あ、あの、本当は知っていました。嘘をついていて、すいませんでした」



俺はそう言って頭を下げた。


怒られる。


罵倒される。


その覚悟もあった。


いや、俺はそうされても仕方ないことをしたんだ。