建物から出て来た人は、駅で声をかけてきた女性だった。 俺は彼女に軽く会釈をする。 彼女は俺を見て、目を見開いていた。 そりゃそうだろう。 あの時、写真の子は知らないと言ってたくせに、今更、美雨のことで話しがあると言ってきたんだから。 「あなたは……」 目を見開いたまま俺を見ていた彼女は、門越しにそう言ってきた。 「突然、すいません……」 「いえ……」 彼女はそう言って、門を開けてくれた。 「中へどうぞ?」 「はい」 俺は門の中に入り、彼女について園庭を歩き、建物の玄関の中に入った。