『はいっ!』
呼び鈴を押すと、中から元気な声が聴こえた。
「あ、あの……」
何て言えばいいのかわからず、言葉が切れた。
『あのぉ……』
さっきの元気な声と違って、トーンダウンした声。
変な人だと思われてるかもしれない。
「あ、すいません。わたくし中野雅斗と申します。えっと、あの……佐原あやめさんのことで、お話があって伺いました」
『あやめちゃんのことですか!?あ、えっと、少々、お待ち下さい』
「はい」
美雨の本名を言った時、インターホン越しに聴こえた女性の声は慌てていた。
駅にいた女性だったんだろうか……。
声だけじゃわからない。
俺は建物の方に目をやって、女性が出て来るのを待った。



