「美雨?俺、ちょっと出かけて来るな」 俺がそう言った時、美雨が俺の手首を掴んだ。 美雨は顔を上げ、首を左右に振った。 さっきのことがあるから、俺が佐原の家に行くと思ってるのかもしれない。 それか、言わないと約束した警察に行くと思ってるか……。 俺は、目線を美雨に合わせるようにしゃがんだ。 「美雨?大丈夫だから……」 そう言って、美雨の頭を撫でた。 “ビクン”と小さく跳ねる美雨の体。 でもその表情は無表情のままで……。 俺の手首から美雨の手が離れた。