「私のこと、抱かなかったらどうなるかわかってる?それでもいいの?」
「いいよ……」
「えっ?」
「言いたかったら言えばいいよ……」
「本当に言っちゃうよ?」
「あぁ。佐原の好きにしたらいい」
俺は裕介と優香に約束したんだ。
“社会的地位を失っても、一生を棒に振っても美雨を守ってやりたい”
って……。
だから佐原に何を言われても、世間からどんな目で見られても、美雨を守れるなら構わない。
「先生もバカだね。あんな女のために……」
佐原はそう言ってクスッと笑う。
「何とでも言えよ」
「あ~あ、何か冷めちゃった。私、帰るね」
佐原はそう言って立ち上がると、部屋から出て行った。
そして“バタン”と玄関が閉まる音が響いた。