俺は下にいる佐原に顔を近付けキスをしようとした。
佐原の唇に自分の唇が重なる寸前、頭の中に美雨の顔が浮かんだ。
12月の寒空の下、仔犬のように震える美雨の姿。
何も話さず無表情のままの美雨。
美雨の顔が頭の中を支配していく。
何やってんだよ、俺は……。
俺は佐原の上から離れてラグの上に座った。
「先生?」
佐原が上半身を起こして俺を呼ぶ。
「先生?どうしたの?」
俯いて返事をしない俺に佐原は、もう1度声をかけてきた。
「佐原、帰ってくれないか……」
「何で?」
佐原は体を起こし、俺の隣に座った。
「ゴメン……。俺は佐原を抱くことは出来ない……」



