美しい雨―キミの笑顔を見せて―





「でもね、パパとママが結婚して、私が4つの時に、あやめを施設から引き取ったの。それも世間体のためだけどね」


「えっ?」


「パパとママが結婚したのに、前妻の子を施設に預けっぱなしって良くないでしょ?うちのパパって社長さんでしょ?それなりに世間に名の知れてるパパには世間体って、とっても大事なの。もちろん、その妻であるママもね。ただの公務員の先生にはわからないと思うけど」



佐原はバカにしようにそう言うと、俺を見てクスクス笑った。


愛人に子供を生ませるような奴が世間体って矛盾してるだろ。


ウンと年下の女にバカにされ腹立つ気持ちを自分の中でグッと抑えた。



「前妻が亡くなって、憔悴しきった男を献身的に支えた女。そして結婚して、前妻の子も自分の子供のように愛情を注いで育てる。そうすればママの評価も上がるでしょ?素晴らしいシナリオでしょ?」



何だよ、それ……。


皆、自分の事しか考えてねぇじゃねぇか。


何で……。