美しい雨―キミの笑顔を見せて―





「あやめと私の誕生日が1週間しか違わないのか……。先生?何でだと思う?」



頭の中が疑問でいっぱいな俺に、佐原は笑顔でそう聞いてきた。


俺は素直に首を左右に振る。



「あのね、あやめは本妻の子で、私は愛人の子。今は、あやめは前妻の子で私は後妻の子って言った方が正しいかな?私たちは異母姉妹なの」


「えっ?」



誕生日が1週間しか違わない理由がわかった。


俺は小さくそう呟くだけで何も言えなかった。


本妻と愛人の子。


母親が違う2人の姉妹。


でも何で愛人の子の佐原が本妻の子のように父親と暮らしてるんだ?



「でもパパも凄いよね~。本妻と愛人と、同じ日にセックスして子供作っちゃうんだから。私の予定日って本当は、あやめと同じだったんだって。でも私は1週間遅れて生まれたの。笑っちゃうよね」



佐原はクスクス笑いながらそう言った。


金持ちの世界は俺には理解出来ない。


佐原は生まれた時から、そういう環境にいて慣れてるんだろう……。


だから美雨の話も笑いながら話せるんだろうな。