俺は小さく溜め息をつき、部屋に入り、いつもの場所に座った。
遠慮を知らない佐原に何を言っても何をしてもムダなんだろう……。
「あの子の本当の名前は佐原あやめ」
佐原は俺が座ったと同時に、佐原はそう言うと、この部屋と隣の部屋を繋ぐ襖に目をやった。
「あやめは私は同い年の姉妹なの」
佐原は襖にやっていた目を俺の方に向けた。
同い年の姉妹?
さっき、美雨のことをお姉ちゃんって……。
もしかして……。
「双子、なのか?」
俺の問いに首を左右に振る佐原。
えっ?違うのか?
どういうことだ?
「あやめの誕生日は3月14日。私の誕生日は3月21日。私たちの誕生日は1週間しか違わないの。だから私より1週間早く生まれた、あの子の方が私のお姉ちゃんになるってわけ」
ちょ、ちょっと待ってくれ。
胎児は母親のお腹に宿った時から生まれるまで40週いるんだ。
双子でもない美雨と佐原の誕生日が1週間しか違わないなんて、どう考えても無理な話だろ。



