「先生?教えてあげよっか?あやめのこと」
「えっ?」
佐原はそう言うと、俺の返事も待たずに靴を脱ぎ部屋に上がった。
「ちょっ!勝手に入るなって!」
慌てて佐原の後を追う。
少しは遠慮しろよ!
佐原はダイニングテーブルがある辺りに立つと、ダイニングキッチンを見渡した。
「わぁ!ここが先生の家かぁ!男の一人暮らしにしたら片付いてるね」
そう言った後、俺の方にクルリと体を向けると……。
「あっ!それとも美雨ちゃんが掃除してるとか?」
首を少し傾けると笑顔でそう言った。
俺はそれに対して何も答えなかった。
そして佐原はダイニングキッチンを一通り見ると、ダイニングキッチンから続く部屋の中に入り、さっきまで美雨が座っていた場所に座った。



