「先生に会いたいから来ちゃった」
佐原はそう言ってクスッと笑った。
いやいや、俺は別に会いたくないし……。
正直、保健室に来られるだけでウンザリ。
教師が生徒に、そんなことを思うのは良くないんだろうけど、教師だって人間なんだ。
生徒に対してウンザリすることだってある。
だからプライベートな空間にまで足を踏み入れられるのは勘弁して欲しい。
「……って、言うのは半分嘘で半分ホント」
「はっ?」
半分嘘で半分ホントって、意味わかんねぇし。
佐原は俺を見てニッコリ微笑む。
その笑顔は、さっきまでの笑顔とは明らかに違っていた。
そして……。
佐原の口から信じられない言葉が飛び出した。
「先生の大切な愛しの美雨ちゃんを見に来たの」