「そうですか……」
彼女が落胆の表情になっていく。
「申し訳ない……」
「いえ……」
胸がチクチク痛む。
彼女の落胆した表情と自分のついた嘘のせいだろう……。
本当のことを言った方がいいのか……。
「…………あのっ!」
「はい」
「あの……」
彼女に美雨のことを話そうとした。
でも……。
「早く、見つかるといいですね」
やっぱり本当のことは話せなかったんだ。
「ありがとうございます」
彼女は俺の言葉にニコリと笑い頭を下げた。
そして彼女は俺に背を向けると、駅に向かって歩きだした。
俺は学校に行くために、彼女と反対方向に歩く。
この時、もう2度と彼女とは会うことはないと思っていたんだ――……。



