遠くでそう言ったのが聞こえ、純が走ってあたしのもとへ来た。 手からミュールが奪われ、あたしはなにがなんだかわからない状況でぽかんと純を見上げる。 「アホ面」 と、ぺちっとデコピンされた。 「な、なにすんのよ!!」 「ほら。もうちょい向こう行くぞ」 純はあたしに手を差し伸べた。