好きだと思った。

その瞬間失恋した。




「本田君…っ!
久しぶりだねぇ!
少し髪が伸びて大人っぽくなった?」

重い体でニコニコ歩いて来るこの女が俺は好きだった。

今はもう諦めたうえ、彼女は旦那との子供を妊娠した。

「そうか?
つーか、あんた学校休んだ方がいいだろ。
見てて転びそうで恐ろしいわ。」


「あっはは、夏木先生と同じ事言う〜」

そうだろうな。
絶対やらかしそうだ。

「大丈夫だよ。
皆と会って動いてた方があたしもこの子にもいいと思うし。」

そう微笑んだ彼女の顔は母親だった。

「…いいな、その腹の子。
俺もあんたの子供に産まれたかった。」

「…何言ってるの。
嬉しいけど、あなたにも素敵なご両親いるでしょ?」